2017年06月05日

2017年3月23日 九州旅行(中編) 雪の降る九重連山

人は生きたいという気持ちを確認するために、死ぬようなことをしたがる、ようである。
夜と霧の著者、V・E・フランクルも、ロッククライミングをしていた。

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この日、天気予報は雨のち曇り。
雨はそんなに降らず、やむということであった。
能天気に、しっかりと朝ごはんを食べる。

しかし・・・

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なぜか、降るのは雪。

窓から眺める景色8:53に
「まあ、やむでしょ」
と楽観視して、登山口へ。

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赤川温泉登山口には、止まない雪が積もる。

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パンツを、完全防水のアルパインパンツに変更。
しかし、アウターは撥水加工の、クレッタルムーセンしかない。手袋も防水を装備。

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リュックは完全防水なので、カバーだけかけて。

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20分ほど登っても、やまない、雪。

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木陰で休む。雪を浴びたくない。

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容赦をしないのが自然である。

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なぜやまないのか。

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雪景色。されど、凍死の危険性がある。

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止む予報だったのだ。しかし、雪は止まない。
降り続き雪は、綺麗ではなく、恐怖になる。

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木陰で見る雪は綺麗だ、しかし、体温を奪う。
この時まだ余裕だった気持ちは。

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進む道、深くなる雪につれて、悪化。
このころには、撥水は意味をなくし、びちゃびちゃになる腕。

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iPhone画像。ここから強烈な登りで、腕を使わないと登れない。

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降りれる自信はない。雪だから。
とにかく、今日の宿を目指す。
アイゼンなんてない!春なんだ、なんで雪なんてふってんだ?

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気付いたら視界がほぼない扇ヶ鼻山頂に来ていた。
ガスが出まくり、見えない通路。

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何だこの足場。本当に3月の九州なのか?

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馬鹿なのか。なんだこの雪は。やむんじゃなかったのか・・・?
山は怖い。何が起きるかわからない。

この後、扇ヶ鼻山頂から引き返す道を、間違え。
奥に通りすぎて、降った私は、道を間違えた。
しかも、雪に足をとられてスリップ。左腕を強打。
ステッキの先を取らずにゴムのままにしていたから滑った。雪の時はラバーカバーを取るべき。

経験上確実に血が出ているだろうが、雪の中無視して下り。
降り切ったところの標識で道を間違っていたことに気付く。

たまたま電波があったので宿に電話し、ここからの所要時間を確認。13:30くらいだったと記憶している。
だいたい、3時間あれば、宿である法華院温泉山荘に到着するらしい。
「無事にたどり着いたらなんですけど」
と自信のない、回答。道に迷ってコケて血が出て雪がふり、そこそこパニくっていて混乱。
仕方がないね。
アイゼンがあればよかったんですが・・・

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景色は飛ぶ。
無事に扇ヶ鼻に引き返して、山荘への道をひた歩いていた。
14:35撮影。この時、脳内は「いかに死なないか」ということばかりを考えていた。

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どうすれば。いいのか。とにかく避難小屋へ。行くしかない。
ガスガスの視界の中、ひたすら避難小屋へ。

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14:53 避難小屋到着。
これで、死にはしない。ここで寝れば死にはしない。
服を脱いでひたすら、雪を落として絞る。しぼって水を出す。
服を着替えて、乾燥したものへ。ダウンをミドルインナーにして、水の侵入を防ぐ。
傷を確認。血が出ている。消毒して、バンドエイドをはる。打撲が酷い。
とにかく体温を下げてはいけない。暑い方が良い。

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避難小屋のなんとも助かる存在感。素晴らしい。

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ここで、人と出会う。しかし彼らは、
私を非常に訝しい目でみて、何の話しかけもなく、消えた。なんだったんだ?

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避難小屋からの景色。ここを乗り越えれば、久住分れである。

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15:57
北千里浜撮影。
今までの間に何があったのか・・・

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パノラマ↑

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久住分れから、北千里に到達する間は、雪道となると、アイゼンがないと正直かなり厳しい。
岩だらけのそこそこ斜度がある下りだからです。

あまりに急すぎて、一歩一歩、ステッキをさして、無理やり降りましたね。
何かを呪いながら。
全く写真はない。余裕なんてなかった。
ただひたすら、降りることだけを考えて、アイゼンがないことを恨んで。
雪が寒くて、足跡がなくて、道順もなかかな見えなくて。
岩に書いてある黄色い道しるべなんて、雪が積もると見えないですからね・・・。

もう本当に、死ぬかもね、って思ってでも死ぬ気で頑張って。
ただただ一歩ずつ、岩を下っていっただけ。
ただひたすらに。だから写真がない。

こんなに、「人に会いたい」とか「人里におりたい」とか思ったことはありませんでした。

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岩場の切れめで、学生に出会って。
そのときいかに俺が安心したか。
法華院温泉山荘がすぐそこだとわかった。助かった。

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法華院温泉山荘

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助かったのだ。大袈裟だけどね。

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16:57

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まだ降る雪に。
温泉に入って。

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無事に入れてよかった。

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一緒に夕飯を食べた方は、「こんな時期に雪がつもるなんて考えられない。誰もアイゼン持ってきてないかもしれない」
と言っていたくらい、珍しい雪だったのです。

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夕飯、美味しかったです。
乾燥室に、服を入れて乾燥させて。
※本当にびっちゃびちゃで、ダウンとTシャツ以外着るものがないレベル

生き延びたことに感謝した一日でした。
春山でもアイゼンがあったほうがいい。
下半身は、アルパインパンツを持っていてよかった。

後日、ストームクルーザージャケットをかいました。
posted by hinata_hisa at 22:28 | 東京 ☀ | Comment(0) | 登山の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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