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2020年07月17日

バズマザーズが好きということを只管書くだけ11 爪

第1回 敗北代理人
第2回 傑作のジョーク
第3回 麻婆豆腐殺人事件
第4回 キャバレークラブギミック
第5回 ムスカイボリタンテス
第6回 スクールカースト
第7回 フールオンザビル
第8回 東京デマイゴ
第9回 ソナチネ
第10回 ナイトクライヌードルベンダー



バズマザーズが好きということを只管書くだけ7 フールオンザビル」で紹介した「フールオンザビル」ですが個人的、バズマザーズの名曲ベスト2と書きました。
個人的1位は、フールオンザビルと同時にリリースされた曲「爪」です。

何回聞いたかわからないくらい聞いた非常に好きな曲「爪」。
この曲は「フールオンザビル」とセットで人生にポジティブな気持ちになれる曲です。

「フールオンザビル」は「自殺をやめる」曲です。

世界中が無様な俺を呼んでいる気がした
期待に応えてあげなくちゃ


つまり山田亮一氏が、自殺を思いとどまった時期のことを書いているのだと思います。

INTERVIEW : バズマザーズ
https://ototoy.jp/feature/2013060600


から引用します。

重松伸(Ba / 以下、重松) : 僕は死んで欲しくなかったんですよ。彼しか友だちがいないので(笑)。でも、そのときは本当に重いトーンだったので、死にはる人はこんな感じなのかって思いました。でも、1回会ったらどうにかなるやろなって思ってたところもあります。「飯おごるし、とりあえず空港から戻っておいでえさ」って。でも、そこではバンドやろうって気持ちではなかったです。毎日僕と遊んでくれたらそれでよかったんですよ。
山田 : バンドがなくても(笑)。


感動しません?泣きますわ、私だったら。

山田亮一は本気で死ぬことを考えていて、それでいて「無様な自分が世界から呼ばれてる気がした」から生きることにした、と。
カッコいい自分でいたい、のはもうあきらめて、無様でもそんな俺は世界から必要とされているんだ、と。
きっとそんな気持ちをフールオンザビルで書いたんじゃないかと思うんです。勝手にこれは・・・私が思ってるだけですけど。

私は本当にもう、すぐに「死にたくなる」ような鬱々とした気持ちになるんですよ。
「あーもう嫌だ、やめたいこんな生活」って。他人からしたら「恵まれてるような生活を少ししてる」かもしれないのに。
でもそれって客観的ですよね。主観的に私は気分が悪いんですよ。これはどうしようもない。
そんなときに、酒を飲みまくって真夜中彷徨うわけです。
そのときに橋から飛び降りることもできるんですが、この曲を聴くと「無様な自分を曝け出して生きようゼ!」って気持ちになるんです。

で、そこからの「爪」です。
歌詞」へのリンク置いておきます。

想わず画面を破壊したくなる
知った顔が知った顔で歌ってる


テレビつけたら、なんか嫌な知り合いが歌ってた、って。
自分も売れたかったのに、よりによってお前かよ。
そんな毒を吐きながらテレビをぶっ壊したくなったりします。

この歌詞の前提として「バズマザーズは売れたいと思ってる」があります。
きっと山田亮一氏は、その皮肉な歌詞がトゲになりつつも、きっと売れたいんです。
でもきっと売れないことは自覚しているんじゃないでしょうか。でも売れたいんでしょう。

「貴方だってさ、彼と同等の値打ちがある」みたいな慰めを貰い
「奴は春の宇宙で、お前はバネの空間」って言われた様な気持ちになる


言われますよね、そんなどうしようもない同情の言葉。
いやいや、同じって、何を言うてんですかってもんです。

Spring Space = 「春+ 宇宙」 もしくは 「バネ + 空間」

凄い歌詞です。
何をもってこの歌詞にたどり着いたのかわかりませんが、確かに春の宇宙とバネの空間は春の宇宙の方がカッコいい気がします。

傷つけてしまった人や 愛してくれた母さんや いつかの俺を混ぜた声で
頭の中、詰問は続く

問A・数多に現存し未だ尚、増えて止まぬ詩を何故、妄念に憑かれた様に拵え続ける?
永い熟考の果てに黙ってしまう


問Aはこの後の歌詞「と言え」にかかってる言葉遊びです。

「なんで俺は、未だにずっとずっと何かに憑りつかれたように音楽と歌詞を生み出し続けているのだろうか?」
その答えは、出てこない。
そんな歌詞を歌にするって、ある意味矛盾しているというか。
「なんで俺は歌を作ってるんだろうな」なんて歌詞はなかなか見ない気がします。

「不安の種が発芽して さもしくあだ花は咲いて 思う壺でそいつを活ける 詩を紡ぐ道理などはそう」と言え、俺の血。
こじらせたままの夢は、もはや半生のトレードマークさ
イメージはいつでも嘲笑と罵声と怒号で揺れるアウェイで 時が凍る様なソウルを


不安の種が発芽して = 心の中に何とも言えないもやもやした不安が出てきて
さもしくあだ花は咲いて = その不安の種から咲いたのは「実を結ばない」あだ花
思う壺でそいつを活ける = それを俺は摘んであえて生け花にして飾りたててドヤサと人に見せる
詩を紡ぐ道理などはそう = それくらいの事を歌にして生きてます、と

そう言え、俺の血。

詩的(文学的)な表現になってますが、たったこの1文で自分の人生を客観的に見てます。
永い熟考の中で言葉にできなかったのはこの考えでしょう。

こじらせたままの夢は = いつか売れたい、ということだと思います
もはや半生のトレードマークさ = いつか成功したいという明るい未来への期待ではなく、どうせ成功しないという気持ちのこもった惨めな期待、しかも自分の不安から出てきてるどうしようもない思いを歌にしてるなんて、ひどい生き様だと

「イメージはいつでも嘲笑と罵声と怒号で揺れるアウェイで 時が凍る様なソウルを」
この歌詞天才でしょ・・・と思いました。

山田亮一さんは、売れたいということなのに結局「アウェイ」で嘲笑と罵声と怒号にまみれたようにソウル(魂)を歌いたいんです。
この気持ちはあまりにも、すごく同意できるというか、イメージもできてなんだか映画みたいで、すごい素敵な歌詞だと思いました。

写真で見るいつかの俺を、広辞苑で見る『適当』って熟語を見る様な憐れみを帯びた眼で見るのはもう止めにしよう
良くて未来、普通で過去、悲惨ならばまた来世
現在、存在しない的に希望の矢を射るのはもう止めよう

さぁ、リスタートだ ロッキーのテーマを脳内再生
棺桶リストに記す 「かつての俺より鋭い閃光を放ちたい」
それをさして、鬼が集う寄席で落語をやる様な行為だと嘲る輩には
「リスク上等。不様上等。」と言え、俺の血。


この爪の歌詞、最高潮はここです。まさに、ここなんです。
めちゃくちゃポジティブじゃないでしょうか。ひたすらに前向きなんです。

自分のことを「憐れなやつだ」と思ってそれで済ますようなことはもう止めにしてしまおう、と。
希望の矢を射る先は、未来でもよい方で、普通の人は過去に矢を射る。「あの頃はよかったな」と。
そして悲惨ならば来世=「もう、俺の人生の残りに希望なんてない、来世に期待だ!」ということ。

そうじゃない。現在、ただそこにだけに希望を抱けるはずなんだ。
今に期待しないといけないんだと、そこに気付いてるだろ俺自身も、と言い聞かせてるような歌詞です。

棺桶リストに記す 「かつての俺より鋭い閃光を放ちたい」 = 俺はこの先の人生、今より輝いて見せる。前のバンドよりも売れて見せる、と。
それをさして、鬼が集う寄席で落語をやる様な行為だと嘲る輩には = そんなことできるかと笑ってくる奴らがいたならば
「リスク上等。不様上等。」と言え、俺の血。 = リスクなんて死ぬことに比べたらてんでマシな話で、無様なんて承知してる、と。そう言い切れ、黙ってないでこれを歌え俺の血、と叫びが聞こえるようです。

この不様上等はフールオンザビルの歌詞に繋がってると思います。

癒えぬ痛みに、のたうち回りゃ尚、揺れるアウェイ
失笑を大人買うも 苦し紛れに伸ばした脚の先の爪が今、革命に届きそうだった
伸ばした脚の先の爪 革命に届きそうだった爪


癒えぬ痛みに、のたうち回りゃ尚、揺れるアウェイ = 死にたいような無様な日々にのたうち回りながら生んだ歌は、それこそさらにアウェイで嘲笑と罵声と怒号で揺れまくるリスナーたちが目に浮かぶよう。
それで失笑を大人買うも = まるで「失笑の大人買いをしているかのように、わざとそんなことをしている」んです。

苦し紛れに伸ばした脚の先の爪が今、革命に届きそうだった = については…

「手が届かない」という言葉があります。
どうしても欲しいものがある、夢がある。
もうあと一歩、もう少しで手が届きそうだ。
革命が起こせそうだ、と。

ここでいう革命はきっと大富豪の革命のように、全てがひっくり返る世界です。
自分の歌が世界に受け入れられるような世界です。

その革命に手が届きそうで届かない。
でも足なら?足は手よりも長い、それなら届くかもしれない。
いや、足でも足りなかった、あと少し足で届きそうなら、爪を伸ばした分で足が届くかもしれない

俺はそれくらい、無様に足掻く。足掻くという言葉通り、足を使って。
それでも足りないなら、伸ばした爪で距離を稼ぐ、そこまでやってどうしても革命は起こせないのか?

公式の歌詞に載ってないセリフがこの曲には最後に収録されています。

さあ 何度だって行こうぜ


私たちは、爪を伸ばしてでも何かを手に入れたい(足にかけたい)ようなことはあるでしょうか。
そこまでして革命を起こしたいでしょうか。
人生を変えたいでしょうか?

人生でチャンスは何度も来ます。
その度に足の爪を伸ばすくらいの勢いを我々は持てるでしょうか。
不様上等と言ってもがけますでしょうか?

この曲「爪」は、山田亮一さんが「フールオンザビル」と共に自分の人生を歌った曲だと思ってます。
あまりにも熱がこもりすぎていて、きっとアルバムには収録できなかったのでしょう。
この2曲は単品として完成されています。
つまり、イレギュラーな曲なのです。

しかし私は、この曲がリリースされたことを、聴けて良かったと思っていることを書いておきたい。
本当に素晴らしい歌詞と曲です。
ギターも、ドラムもベースも、3ピースバンドとは思えない完成度で。
何回繰り返し聞いても飽きない最高に最強の曲に仕上がってます。

手放しに拍手したい、そんな名曲が「爪」です。

熱がこもりすぎて長文になりました。
お読みいただきありがとうございました。
posted by hinata_hisa at 22:13 | 東京 🌁 | Comment(0) | 音楽・ライブ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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